『結婚するって、本当ですか』は、若木民喜による日本の漫画作品で、青年誌『週刊ヤングマガジン』(講談社)にて2020年34号から2023年44号まで連載されました。略称は「#結婚って本当ですか」。
この作品は、主人公たちが織りなすコミカルで温かいストーリーを通じて、結婚や家族、そして人間関係の複雑さを描いています。
漫画の世界なのに、妙に納得させられるリアリティ感があり、個人的にとっても大好きな作品のひとつです。
物語の後半になるにつれ、登場人物の感情の揺れも激しくなりますが、それを包みこんでくれる人の温かさが、とても心地よいのです。
この作品はすでに完結していますが、全巻通しの考察していきますので、気になっている方は、購読の参考にしてください。
目次
あらすじ:概要
旅行代理店に勤める大原拓也と本城寺莉香は、共に人付き合いが苦手で、それぞれ充実した一人生活を送っていました。
しかし、会社のシベリア(アニメではアラスカ)支店開設に伴い、独身者が優先的に海外派遣されることになり、現状維持を望む二人は「結婚する」という嘘をつくことを企てます。
周囲を欺くための偽装結婚生活を送るうちに、次第に惹かれ合っていく二人の姿を描いたラブコメディ。
主な登場人物
主人公とヒロイン
- 大原拓也(おおはら たくや)
- 旅行代理店JTC勤務。24歳。
- 会話に一瞬乗り遅れる癖があり、人付き合いが苦手。
- 猫好き。
- 演:熊谷健太郎(アニメ)
- 本城寺莉香(ほんじょうじ りか)
- 旅行代理店JTC勤務。
- 無表情で人付き合いが苦手だが、一人でいる時は感情豊か。
- 地図を見るのが好き。
- 演:早見沙織(アニメ)
JTC錦糸町支店の人々
- 黒川麻子(くろかわ あさこ)
- 大原と本城寺の上司であり支店長。
- 豪快な性格で、部下思いの上司。
- アラスカ支店への海外派遣を推進しています。
- 大原と本城寺の関係を何かと気にかけ、応援しています。
- 演:小清水亜美(アニメ)
- 権田広見(ごんだ ひろみ)
- 大原の同僚。
- 明るく社交的な性格で、周囲のムードメーカー的な存在。
- 物語途中、自身の結婚について悩むことになります。
- 演:落合福嗣(アニメ)
- 小宮夏海(こみや なつみ)
- JTCの受付嬢。
- 可愛らしい外見と優しい性格で、社内の人気者。
- 演:阿澄佳奈(アニメ)
- 伊槻佳祐(いつき けいすけ)
- 大原と本城寺の同僚。
- クールで仕事ができるタイプ。
- 演:石谷春貴(アニメ)
その他
- 海山ナオ(うみやま なお)
- 大原と本城寺の同僚。
- マイペースな性格。
- 演:ファイルーズあい(アニメ)
- 大原耕一(おおはら こういち)
- 大原拓也の父親。
- 演:玄田哲章(アニメ)
- 本城寺 律(ほんじょうじ りつ)
- リカの母。職業はインテリアデザイナー。
- 演:伊藤静(アニメ)
作品の特徴
- 偽装結婚から始まるラブコメディ:人付き合いが苦手な男女が、それぞれの目的のために偽装結婚をすることから物語が展開していく、というラブコメディの王道とも言える設定が用いられています。
- 不器用な二人の関係性:主人公の二人が不器用ながらも徐々に心を通わせていく様子が丁寧に描かれており、読者の共感を呼びます。
- ギャグ要素:ラブコメディらしく、クスッと笑えるギャグ要素も盛り込まれています。
- アニメ化:2024年秋にテレビアニメ化されて、同年12月に終了
各巻紹介(小ネタバレ)
1巻
- 人付き合いが苦手な大原拓也と本城寺莉香は、旅行代理店JTCでそれぞれ充実した一人生活を送っていました。しかし、シベリア(アニメではアラスカ)支店開設に伴い、独身者が優先的に海外派遣されることになり、現状維持を望む二人は偽装結婚を企てます。
- 周囲に結婚を報告し、偽装夫婦としての生活をスタートさせますが、ぎこちない二人の関係は周囲に怪しまれます。
- お互いのことを知るために、猫カフェに行ったり、本城寺の部屋で地図を見たりするうちに、少しずつ距離が縮まっていきます。
- ポイント:偽装結婚の発端と、二人の関係の始まりが描かれます。
2巻
- 偽装結婚生活を続ける中で、拓也は本城寺の意外な一面を知り、次第に惹かれていきます。
- 会社の飲み会で、黒川の策略により、大原と本城寺は夫婦として振る舞うことを余儀なくされます。
- 本城寺も大原に心を開き始めますが、素直になれない二人の関係はもどかしい展開を見せます。
- ポイント:周囲に夫婦として振る舞うことで、二人の関係が変化していく様子が描かれます。
3巻
- 拓也の祖母が倒れたという連絡を受け、二人は大原の実家である阿蘇へ向かいます。
- そこで大原の家族に偽装結婚がバレてしまい、大騒動になります。
- JTC支店では、店長代理の進士が離婚騒動をきっかけに行方不明に。
- ストーリー終盤では、拓也が莉香を前に、重大発言をしてしまいます。
- ポイント:大原の家族との出会いを通して、二人の関係が深まりますが、離婚騒動で結婚についてさらに深く考えることになります。
4巻
- 阿蘇での一件を経て、大原と本城寺は改めて自分たちの気持ちを見つめ直します。
- 本城寺は、大原への気持ちを自覚し始めますが、素直に伝えることができません。
- 莉香は本当の自分を見せるために大原をデートに誘いますが、なぜかとんでもない展開に。
- 同僚、権田のマッチングアプリからはじまる恋愛模様も面白いです。
- ポイント:二人の気持ちが動き出し、物語が大きく展開していきます。
5巻
- なぜそうなったかもお互いわからない「キス」で動揺している二人からはじまります。
- JTCの、共働きに理解のある企業だというイメージアップ作戦のため、拓也と莉香はブログ日記を書くことになります。
- ブログ日記制作のため、二人のぎくしゃくした共同生活がはじまります。
- ポイント:噛み合わない共同生活がとても面白いですが、偽装結婚を白紙に戻さなければならず、最後まで目が離せません。
- アニメはこの5巻のプロポーズするところまでが描かれています。
6巻
- 結婚ってどういうこと?二人で暮らすってどうすること?を丁寧に描いています。
- 家族への理解を求めるために、不器用な二人が前進をはじめます。
- 莉香の母親 律の送り込んだスパイも判明します。
- ポイント:とうとう真実の結婚に動きはじめた二人の行動と葛藤が面白いです。
7巻
- 二人は温泉旅でお互いをさらに深く知ろうとしますが、うまくいきません。
- そこで、拓也の幼馴染ナオに相談し、富山へ旅行することになります。
- 終盤、結婚のあいさつ?説明?をするために二人で阿蘇に戻ります。
- 同僚の夏美と律の関係性も語られます。
- ポイント:熊本にある拓也の実家がどんな状況なのかを知ることで、結婚することの重さがつたわってきます。また寄り添っくれる莉香の姿勢に癒やされます。
8巻
- 一旦戻ってきた二人でしたが、再び莉香は阿蘇へ。
- 拓也の父親耕一は、莉香の行動ひとつひとつに驚かされてあたふたしていまします。
- 一方、拓也は律に調教されておもしろ元気ハツラツキャラになってしまいます。
- 気づけば、奇跡的な両家顔合わせ状態で、終巻。
- ポイント:自分を見つけはじめた莉香と、葛藤を続けながらも、何故かおかしな方向に進んでしまう拓也の対比がみどころ。
9巻
- 両家顔合わせは、思ったほどうまくいかず。
- しかし、それを機に、デートにでかけることになります。
- デート中、二人は初夜を迎えることになります。
- 一度は拒絶した父の仕事を継ぐという父からの願いでしたが、父を理解するため拓也は仕事を手伝うことに。
- 終盤、二人は離婚した莉香の父に会うことになり、さらには旅行計画を手伝うという、とんでも展開に。
- ポイント:なんといっても二人のデートと初夜がクライマックス。決してエッチなシーンではなく、場所はかなりアブノーマルですが、心がほっこりします。
10巻
- 前巻の続き、父親とその娘、青衣との旅行プランニングからスタート。青衣は、母親違いの莉香の妹。
- 莉香は熊本以来、会ってくれない律になんとかコンタクトを取ろうと奔走します。
- 拓也の幼馴染ナオのガラス細工をきっかけに、莉香と律の会話の糸口を掴みます。
- 最終巻に向けて、まとめと伏線を回収する巻。
- 同僚 権田とかおりんの絡みもあります。
- ポイント:9巻では拓也と父親の対話、10巻は律と莉香の対話で、ようやくゴールの結婚が見えてきました。
11巻(最終巻)
- プランニングした父親と青衣の旅行が、仕事の都合でキャンセルになりました。
- 悲しみのあまり飛び出してきた青衣に莉香は遭遇し、一緒に四国に旅行することになります。
- 離婚した父と母:律は、莉香の行動から、以前のわだかまりが少しほぐれます。
- 四国で律は莉香と出会い、お互いを理解し合う。
- 終盤、熊本でのJTCスタッフ参加の結婚式が描かれます。
- 最後は幸せな二人が描かれて物語は幕を閉じます。
- ポイント:ついに達成した結婚式、さらに後日談も、幸せてんこ盛りのハッピーエンドです。
その他
- 作者の若木民喜は、『神のみぞ知るセカイ』などで知られる漫画家で、本作が初の青年誌での長期連載作品となります。
- 2022年にはWEBドラマ化もされています。
- 2024年秋にテレビアニメ化されて、同年12月に終了。
まとめ
ラブコメ好きな方には、めちゃくちゃおすすめの1冊。
ドロドロでスリリングな展開ではないので、読んでる間、心が平和です。
もちろん、さまざまなアクシデントもあり、結婚が決まってからも、読み手を飽きさせない展開が秀逸です。
アニメでは5巻のまだまだ中盤までなので、続きが気になる方はぜひ読んでみてください。
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