夏目漱石の代表作「こころ」完全解説!あらすじから深層心理までを徹底紹介

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日本の文学の傑作「こころ」は、夏目漱石の代表作の一つです。

中学や高校の教科書でも取り上げられることが多く、なじみのある方も多いのではないでしょうか。

この小説には、人間関係や心理、時代の移り変わりによる倫理観の変化などの深遠なテーマが描かれています

男女の三角関係を通して、人間の内面にあるエゴイズムと葛藤を描いているところは、妙に生々しく、読み手の心をも揺さぶる傑作といえます。

この作品の評価で、「登場人物の行動や考えが理解できない」といった口コミを見ることがありますが、作品を知るには、当時の複雑に絡み合った時代背景を知ることが重要です。

この記事ではこの作品の概要や重要なポイントを紹介しながら、「こころ」の魅力に迫っていきます。

なお、あらすじではネタバレも含みますので、気になる方はブラウザバックしてください。

目次

1. 夏目漱石「こころ」とは

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夏目漱石の「こころ」は、彼の代表作の一つであり、日本の文学史上でも重要な作品です。

この小説は1914年に「朝日新聞」に連載され、同年に刊行されました。

作品は三部構成であり、それぞれ「先生と私」「先生との交際」「先生の遺書」というタイトルで連載され、上巻・中巻・下巻に相当します。

漱石の晩年の作品であり、彼の芸術的な成熟と作風の変化が見られるものとなっています。

1.1 小説の概要

「こころ」は、三角関係と登場人物の内面の葛藤が描かれた物語です。

主人公である学生が「先生」と呼ぶ男性に出会い、彼に心酔する様子や、先生の過去や人間関係の複雑さが描かれています。

同時に時代背景が落とし込まれていることも「こころ」の大きな特徴です。

さらには、終章である「下」がすべて遺書というのも面白い部分です。

1.2 心理と倫理の探求

この小説は、人間の心理や倫理観を探求する作品として注目されています。

漱石の独特な文体や表現力が光る作品であり、日本文学の名著として評価されています。

登場人物たちの恋愛観や倫理観、さらにはそれに影響を受け、自分の振る舞いを客観視する主人公の心の動きなど、すべてが繊細に描かれています。

1.3 教育現場での評価

「こころ」は、日本の教育現場でも広く取り上げられ、多くの人々に読まれてきました。

この小説を通じて、人間の内面や人間関係を深く理解し、豊かな人間性を育むことが期待されています。

1.4 漱石と「こころ」

「こころ」は、漱石自身の生涯や時代背景などにも関連づけられる作品です。

彼の晩年の作品として、彼の芸術的な成熟と作風の変化が見られるものです。

日本文学史において重要な位置を占める「こころ」は、現代まで愛され続けています。

2. こころのあらすじ 〜全体の概要

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夏目漱石の小説「こころ」は、三部構成で展開される物語です。以下では、物語全体の概要をまとめます。

上|先生と私

物語の最初の部分である「先生と私」では、主人公の「私」が鎌倉で大学生として暮らしている時に出会った「先生」との交流が描かれます。静かで不思議な言葉や考え方を持つ先生に興味を抱いた「私」は、彼の過去について知りたいと思います。物語は、先生に彼の過去の話を聞く約束をするところで終わります。

中|両親と私

物語の中間部分である「両親と私」では、主人公の「私」が卒業を報告するために帰省し、父親が危篤状態になる出来事が描かれます。帰省中、「私」は先生からの手紙や電報に触れることで、物語が進展していきます。

下|先生と遺書

びっくりするのは、なんとこの物語の最後の部分である下の章すべてが遺書なんです。しかもかなり長い。
ここでやっと物語の核心とも言える”先生のこころ”の動きが垣間見えてきます。

この部分では、先生・お嬢さん・Kの三角関係が重要な要素となります。先生の過去やお嬢さんへの恋心、Kの死についてが描かれています。

物語は先生の遺書から明らかになる結末へと向かっています。一般的には、教科書では主に「先生と遺書」の部分が取り上げられる傾向があります。次に、各章の詳細なあらすじを解説します。

3. こころの各章のあらすじ

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「こころ」は上・中・下の三部構成で展開されており、各章で重要な出来事や物語の進行が描かれています。以下では、各章のあらすじを詳しく紹介します。

上|先生と私

この章では、私と先生の出会いや交流が描かれています。

物語の舞台は鎌倉の海水浴場で、私が偶然先生の眼鏡を拾ったことがきっかけです。

その後、東京で先生を訪ねるもなかなか会えず、再会は雑司ヶ谷での墓参りの際に実現します。

先生は謎めいた言葉を残しながら、「恋は罪悪だ」と話すこともあります。

私は先生の過去に興味を持ち、奥さんとの会話で先生の過去が明らかになります。

終章では、先生の過去について話をする約束をします。

中|両親と私

この章では、「私」が卒業報告のために帰省し、父親の危篤状態や先生からの手紙などが描かれています。

私が帰省した際には、卒業祝いの会が中止になるなどの出来事があります。

また、帰省中に父親が倒れ、さらに体調が悪化し始めます。

私は東京に戻ることができず、先生からの手紙や電報が届きますが、父親の具体的な状態が分からないため、先生の要望に応じることができません。

やがて、私は先生からの手紙で「私は死んでいるでしょう」と書かれていることを知り、東京に戻るために汽車に飛び乗ろうとします。

下|先生と遺書

この章では、先生の手紙「遺書」の内容が描かれます。

先生の20歳にして両親を亡くし、遺産を叔父に騙し取られるという過去が明らかになります。

その後、先生は小石川近くの家に下宿し、お嬢さんとKとの関係が始まります。

Kが衰弱していることを知った先生は、彼を下宿に招き、お嬢さんの力でKは回復します。

先生たちは一緒に外出するなど楽しそうな日々を送りますが、Kは先生に恋心を打ち明けます。

そして、先生もお嬢さんを好きであることをKに告白しようとしますが、先生からのメッセージが届く前に奥さんがKに話してしまいます。

その結果、Kは2日後に下宿で自殺します。

各章では、先生との交流や先生の過去、先生・お嬢さん・Kの関係が重要なエピソードとして描かれています。

これらの出来事が、物語全体の展開や結末へと繋がっていきます。

4. こころの結末・終わり方

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「こころ」の結末は、主人公が先生から手紙「遺書」を受け取ることで物語が幕を閉じます。

この手紙によって、先生の内面が明らかになり、感動的なクライマックスが迎えられます。

手紙の中で、先生はかつての親友であるKとの関係を明かします。

先生はKがなぜ自殺を選んだのか、そしてお嬢さんが自分の妻となった経緯を告白します。

Kはお嬢さんに思いを寄せていたが、先生がお嬢さんと結婚したことを引き金に、Kが自ら命を絶ってしまったのです。

ここは様々な解釈がありますが、実際には、まじめなKは恋心にうつつを抜かす自分が許せなかったことが自殺の大きな要因です

先生が毎月お墓参りに行っていたのは、Kの墓でした。

主人公は手紙を読むことで、先生の苦悩や葛藤を理解し、彼の心に深い感銘を受けます。そして物語はここで終わりを迎えます。

「こころ」の結末は、先生とKの複雑な関係や主人公の成長に大きな影響を与える場面です。

読者は感動や共感を味わいながら物語の結末を迎えることになります。

この結末は、読者に先生やKの思いを考えさせると同時に、人間の心の葛藤や選択の難しさについても考えさせてくれます。

そして、読者自身も物語の中で経験したような感情を抱くことができるでしょう。

「こころ」の結末は、繊細かつ感情豊かに描かれており、読者に強い印象を与えること間違いありません。

ぜひ、物語の結末まで辿り着いて、その感動を味わってみてください。

5. 登場人物の詳細

夏目漱石の小説「こころ」には、複数の登場人物が重要な役割を果たしています。以下では、物語の中で主要な登場人物を詳しく紹介します。

主人公(私)

物語の語り手であり、名前は分かりませんが一般的に「私」と呼ばれます。

彼は大学生でありながら、仕事をせずに妻と静かな生活を送っています。

彼は鎌倉の海岸で先生と出会い、先生の過去に関わることになります。

先生

物語の中心人物であり、謎めいた存在です。「先生」と呼ばれることが多いです。

先生は魅力的な人物でありながら、人との関わりを避ける傾向があります。

彼の友人の死をきっかけに、先生の人生は大きく変化していきます。

奥さん

先生の妻であり、物語では「奥さん」と呼ばれています。

彼女は先生の死を知ることなく、彼の過去や内面を理解することはありません。

下の章の「お嬢さん」と同一人物。

K

主人公の友人であり、先生とも交流するようになります。

Kは純粋な性格を持ち、お嬢さんという女性に恋心を抱いています。

しかし、先生とお嬢さんが結婚することになり、Kの心情は大きく揺れ動きます。

お嬢さん

軍人の未亡人である女性で、物語の中でKや先生と関わることになります。

静(しず)という名前の美しい女性。結果的には先生とお嬢さんは結婚することになります。

以上が「こころ」の物語に登場する主要な登場人物です。

彼らの関係や心情の描写が物語の進行に大きく関与しており、読者は彼らの心の変化や苦悩を追いながら物語を進めていきます。

まとめ

夏目漱石の代表作「こころ」は、主人公の「私」と先生の関係を通して人間の心理と倫理について深く探求した作品です。

登場人物の死と人間関係、さらにはその時代背景が複雑に絡み合っていて、謎が解明される終盤においても、なんなら読み終えた後も読者に問いを投げかけてきます。

私が思う「こころ」の面白さは、時代の移り変わりによる(古き)先生と(新しき)私・主人公の価値観であり、その揺れ動きが非常に魅力的に描かれている点でした。

この小説は、日本文学史において重要な位置を占め、教育現場でも広く取り上げられています。

「こころ」は、人間関係の難しさや生きることの意味について考えさせてくれる名作であり、今も多くの読者に愛され続けています。

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